【研究職】努力すれば努力するほど虚しさに苛まれるのである【40代後半】

職種：化学系　研究・開発
年齢：40代後半

化学系の研究開発に従事して20年以上が経つ。主に目的とする物質を合成するための合成ルートの探索から生産現場への移管までの幅広い仕事を担当している。同じ職場には様々な学歴のメンバーがいる。

修士が最も多く、博士、準学士、そして高卒。私は準学士なのであるが、自分で開発した仕事を製造現場に移管した経験も多く、独学で化学工学など、生産現場への移管に必要な知識を身につけている。

かつては学歴には関係なく、自力で得た知識や経験を活かして努力すればそれなりに出世も可能であった。当然ながら経験だけしかないものは振り落とされるのであり、努力のし甲斐を大いに感じたのである。私もそうした環境の中でコツコツと努力を続けてきたのである。

数年前に会社が大手企業に買収されたことにより、この環境が根底から覆された。とにかく学歴重視である。買収に合わせて、給与体系も変化した。

元々私は努力が認められて、幹部候補グループの待遇を得ていたのであるが、給与体系の再構築に合わせた暫定的な措置と言うことで、幹部候補グループから外された。理由は学歴である。

そして、暫定的な措置が今も続いている。要は学歴だけを理由に出世の道が閉ざされてしまったのである。それだけならまだしも、学歴の身で何の実力も持たない者が入社してわずか２～３年ほどで研究テーマを任されて、私たちのような者がその下につき、実験データを蓄積していくと言う状況になっている。

確かに私の経験や知識はそれなりに評価されるのも事実ではあるが、私にはこれ以上のポストが与えられる可能性は極めてゼロに近いのである。
完全にゴーストライターのような状況である。

仮にそのような状況であっても、チャンスを与えられた者が私の仕事から学んで、実力を身に着けていってくれるのであれば私も浮かばれるのではあるが、実力がないことに起因するトラブルの対応は私に回ってくるのである。努力すれば努力するほど虚しさに苛まれるのである。

そして、周りを見回してみると、自分と同じような境遇にあるものは向上心を持たず、言われたことをただこなすだけ。こう言う人たちと同れるに扱われていることも私の自尊心を大いに傷つけるのである。

では、私も手を抜いて同じような仕事をすればいいと思われるのであるが、上司によるとこれまでの実績を考えると、今のレベルを維持しなければ明らかに手を抜いているとみなされて評価が下がってしまうことになるということであった。この言葉を聞いて、限界を感じた。

これが仕事を止めたいと思った理由である。