【サービス業】好きでもないお酒を飲みながら、専務の顔色を伺うなんて耐えるしかできませんでした【20代後半】

職種：サービス業
年齢：20代後半

当時勤めていた会社は、大手ではないものの古くから続く有名な会社で、私は事務員をしていました。業務内容自体は電話応対や来客応対で、特に大変だと言うこともなく、その割に給料がいいのが続けていられる理由でした。

それが辞めたいと思うようになったのは、歴史ある会社故の古い体質でした。私のいた事務所には専務がいましたが、この専務が出掛ける時には、事務所にいる全員でお見送りしてました。

まず専務が出掛けると言って立ち上がった瞬間、一人は上着を取りに、一人は鞄を持ち、残りは玄関まで走ります。玄関では靴ベラを持ち、エレベーターを呼び、最後にみんなで並んで「いってらっしゃいませ」と頭を下げ、ドアが閉まるまで顔を上げてはいけません。

専務でこれですから、社長が来た時の気の遣いようは凄いものでした。もちろん、出掛ける時ばかりではありません。電話の取り次ぎでは保留を切って渡さなければならない、「コピー」や「ファックス」という言葉が出れば、走って原稿を取りに行きます。

それは平社員だろうと役職付きだろうと関係ありません。社長たちは絶対的な存在でした。ただこれを我慢すれば、楽で給料がいいのだから、と思いますし、慣れれば大したことではありません。しかし、それと同時に、エレベーターで並んでる姿などを見る度に、やっぱり違和感は感じるものでした。

それから、こんな会社だから飲み会は辛いものでした。まず、断れません。好きでもないお酒を飲みながら、専務の顔色を伺うなんて耐えるしかできませんでした。時々、ひらめいたようにゲームを思いつき、勝つまで止めないということもしょっちゅうでした。

最後に、家族間の喧嘩を職場に持ち込むのが一番嫌だったかもしれません。社長と専務は親族ではなく友人でしたが、それぞれの子どもが入社してました。社長はわかりませんが、専務親子が喧嘩すれば、電話でも伝えといてで済ませれ、何度も間に入ってやり取りさせられました。正直、勝手にやってくれって感じでした。自分の仕事も進みませんし。

最終的には、家庭の事情が原因で退職しましたが、それがなくてもいつかは辞めていたと思います。決して悪い条件ではなかっただけに、もったいないことだったのかもしれません。

それでも、老舗の会社には出来上がってしまった独自のルールがあり、しかも、それが現代に馴染まないことも多いと感じました。何より家族間の問題を持ち込む職場で、その家族中心に回ってしまうのだから、本当は他の社員のことなど考えていなかったのだろうと思います。そして、そういう会社にいても、自分が虚しくなるだけということを知りました。