【児童施設】まだ鬱という病気の認知度は低く、情報量も少なかったことから、とても厄介な病気のように感じました【20代後半】

職種：児童施設
年齢：20代後半

以前私はある児童施設に勤めていました。保護者の都合で預けられた施設です。当時この仕事には大変な情熱を感じていましたから、長時間労働であったり、安月給、肉体労働、職場の人間関係など、よく退職の理由としてあげられるようなものは、上手に払いのけることができていました。

余談ですが、日本の福祉は労働者に甘えていると思います。福祉施設での仕事は本当に人間相手の仕事ですから、肉体的にも精神的にも過酷です。もう少しお給料の条件を見直すべきだと思います。

まあ、そんな余談はさておき、それでも長いことと、その情熱にあおわれて続けていました。　当時、虐待を受けていた子どもたちの認知度が急激に上がり、その子たちの入所が異常に増えた時代でした。

辛い虐待を受けてきた子どもたちが発する大人たちへの反発は想像を絶するものです。自分も含めて多くの職員がその子たちの処遇に頭を悩ませていた時代です。　また私たち職員に課せられた責任もとても大きなものでした。

もちろん、子どもたちを救いたいという一心でしたが、職員も人間ですからそんなに強くはありません。処遇困難な子どもたちのケアに格闘し　次第に鬱になってしまう職員がでてきたのです。

その当時、まだ鬱という病気の認知度は低く、情報量も少なかったことから、とても厄介な病気のように感じました。事実、とても大変な病気ですよね。

全く別の人間になってしまったような、その様子を見て正直とても不憫に思いました。と同時に、このままこの仕事を続けていたら、自分もいつかこの病気にかかってしまうのではないかという大きな恐怖を覚えました。

私たちは施設全体でその同僚のケアに当たりましたが、そんなに簡単に治る病気でもないということもみんな承知していました。その頃からです、このままでは自分もだめになってしまうかもしれない、ここは一度この職場を離れて一休みを入れた方がいいかもしれない、逃げること、危険から回避することも人生の中で必要かもしれないと思うようになりました。

というわけで、退職を決めました。その決断をしてから気持ちがすごく楽になったのを覚えています。情熱を持った仕事を投げ出すことはとても勇気のいるものでした。

しかしそれ以上に自分の心の健康はとても大事であると気づいたからこその決断でした。私は今もあの時の決断は正しかったと思います。　あの休暇を経て、今はまた子どもたちにかかわる仕事を楽しくやっています。