【飲食】ありがとうと言われたことはありません【40代前半】

年齢：40代前半
職種：洋菓子店勤務

私が以前勤めていた洋菓子店のオーナーは、３０代前半で小型工芸菓子部門で金賞ほか、沢山の賞を受賞しているイケイケのパティシエでした。その奥さんは２０代前半で、オーナーと同じ洋菓子店で働いていた後輩パティシエだったのが縁で結婚したとのことです。

若くしてお店を持てた理由として、オーナーの父親が会社経営者で、全面バックアップがありました。店構えも今風のオシャレカフェ的で、ケーキも非常に凝ったデザインのものばかりで、お店は大変繁盛していました。

ただ、従業員のパートさんには大変冷たい態度のオーナーでした。後々、我慢に我慢を重ねた挙句にお店をやめたパートさんたちが、わざわざ集まって、オーナー夫妻の愚痴を言う会が出来たほどです。

従業員（とくに、販売員）は使い捨て。次はいくらでもいると思っているのが見え見えで、げっそりするほどでした。

オーナー自体、夜は午前様、朝は６時ごろから働いているので、疲れが溜まっていて、スタッフを気遣う所まで気が回らないのでしょうが、私は半年間働きましたが、その間、一度もケーキを貰ったことはありません。

売れ残ったケーキは捨ててしまうか、翌日売ります。従業員にお味見のようなこともさせてもらったことはありません。お客さんから、これはどんな味ですか？と聞かれたら、奥さんを呼び、奥さんが説明します。

オーナーは厨房から、常にパートを監視していますが、何か不満や注意したいことがあると、自分ではなく、奥さんを介します。嫌な役はすべて奥さんの仕事なのですが、オーナーから言われて注意していることは、みんな知っているので、直接言わないことが余計に意地悪だなと感じます。

この夫婦から「ありがとう」と言われたことはありません。スタッフが足りなくてどうしても入ってほしいと言われた時や、親切心から、明らかに「パートがここまですることないな」と思うような事をしてあげた時も、ありがとうと言われたことはありません。これは私だけでなく、パートさん全員に対して同じ態度です。

パートは傭兵のように、「やめたければやめたらいい、次はいくらでもいるから。」という上から目線がひどすぎました。そして従業員が次々と辞めていく原因は、「洋菓子の世界は厳しいから」が口癖でした。

私は、急に手術をしなければならず、仕事をやめたのですが、最後の日に言われた言葉は、奥さんからは「制服はクリーニングをして返して下さい。」オーナーからは通常通り、「お疲れ様。」の一言でした。私だけに対する扱いがこれなら、何か私が問題行動を起こしていたのかなと思いますが、パート全員、普通にこういう態度をとられます。

オーナーを支えようとする気持ちは、金銭のやりとりだけでなく、その人間性も大きくかかわってくると思います。ちなみに、お客さんは、このような内輪の問題は、まったく気づいてません。みな笑顔で接客していますから。